ショウヘイが我が家に落ち着いてからしばらくすると、夫が2匹目の子猫がほしいと言い出した。そして夜な夜なジモティーで里親募集中の子猫を物色し始めた。そんな中この子は!という子にあたると、会いたいとメッセージを送るのだが、そんな子は人気者で既にお見合い予定が入っていて、そのまま引き取りが決まることが2度ほどあった。
3度目の正直で、キジトラのメスの子猫を引き取ることに決まった。
ちなみにショウヘイの時は引き取って貰えないだろうか、と保護した方が我々に頼むような姿勢だったが、ジモティーに限らず募集サイトにアクセスして、こちらからこの猫を譲ってくださいと意思表示する場合、多かれ少なかれ金銭の支払いも生じるし、譲渡主独自の厳しいフィルターにかけられて、断られる事も多いようだ。
私達夫婦も家族構成や今の猫(ショウヘイ)の性格、日中留守にする時間、ショウを飼った経緯などなどをしっかり聞かれ、総仕上げに住まいも見学の上、契約書に押印して、ようやく譲渡にいたった。
フードやおもちゃなど、たくさんの嫁入り道具と共にやってきたメスの子猫は、ショウヘイが初めて来た時と違い、怯えて食事も喉を通らない状態だった。
どういう因縁なのか、子猫がやってきたその日に台風が来た。関東に甚大な被害を出した、台風15号である。夜中に凄まじい暴風雨で、とても眠れずリビングで起きていると、何度か停電した。隣の部屋にいる子猫の様子をそっと覗くと、かわいそうに、嫁入り道具の毛布を頭からすっぽりかぶって震えていた。
翌朝になって台風が過ぎ去ってもしばらく怯えていたが、その後は徐々に家の中を探検し出し、最初の2日程はショウヘイと出会うと威嚇し合っていたが、すぐに意気投合し、そのうちどこへ行くにも付いて回るようになった。
お試し期間中にすっかり2匹は打ち解けたので、晴れてうちの子になった。
名前は蓮華。
キジトラ柄なので、和風の名前で、女の子なので花の名前がいいと希望を出したら、夫が蓮華はどうやと提案してきた。
調べてみると偶然にも彼女の誕生日の4月13日の誕生花だった。ちなみに夫の母も同じ4月13日生まれである。
名前は蓮華に決まった。
蓮華は一見素っ気ないのだが、実は寂しがり屋で、ショウヘイの姿が見えないと焦って探しに行く。最近ではだいぶ人間にも慣れてきて、ソファで一緒にくつろいだり、夜には夫の晩酌のお供もしている。
保護猫を迎えるということは、もしかしたら交通事故にあったり、保健所に連れて行かれたかもしれない命を、1匹だけでも救ったことになるのかもしれない。だがそういう自己満足的な考えでは必ずしも満足いく猫との生活には繋がらない。生まれてから2か月以上、蓮華は母猫と姉妹猫達と一緒に野良猫として育った。だから人間のことはまだまだ信頼出来ず、どこかおっかなびっくり接する。最初から懐いている猫が良ければ、同じ保護猫でも人に飼われていて捨てられた子や、生後すぐに人に保護された子などから考えた方がいいだろう。
また、外にいたということは様々なリスクがある。蓮華も猫風邪のキャリアで、目やに鼻水の症状があった。しばらく病院にかかって、今は症状が落ち着いているが、免疫力が落ちた頃に症状が出やすいので、生涯気をつけてやらねばならない。
猫エイズや白血病は検査をしてからの譲渡となることが多いが、先住猫がいる場合は他にも色々気を付けねばならない。
蓮華が来てからショウヘイも同じように目やに鼻水くしゃみが出始めた。うっかり忘れていたのだが、ショウヘイも猫風邪キャリアだったのだ。成猫になってからは症状も出ていなかったのだが、毛繕いなどでうつったのだろう。
両猫共に猫風邪キャリアだったからまだ良いものの、どちらか1匹だけだともう1匹にうつることがあるので多頭飼いは難しいと感じた。
とはいえ2匹で遊びまわっている姿や、くっついて寝ている姿には本当に癒される。我が家に来てくれて良かったと心から思えるようになった。